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take a breather

第11章 君のうた

学祭が終わり、5人で打ち上げをやろうとカラオケに行った

「「「「「「お疲れ〜」」」」」

5つのグラスがカチンと鳴る

「来客数、翔ちゃんのクラスが一位だったねぇ」

「あれは あのコスプレイヤーの子のおかげでしょ」

「智まで使われたもんなぁ…」

「スゲェ勢いで来られたから断れなかったよ…」


楽器の片付けを終え
みんなでふらふらと校舎内を歩いてた時のこと…

「あー!大野くんイターっ!」

翔のクラスメイトの女子が人混みの中を潜り抜け駆け寄ってくる

「えっ?なに?どうしたの?」

「ウチのクラスのピンチ!
午後になって客数が激減した!
また猫娘やって!」

「そんな…僕の当番終わったし
そんなことくらいじゃお客さん増えな…」

「いいからっ!
優勝商品の『学食スペシャルセット』のチケット、他のクラスに渡してもいいの⁈」

学祭で一番多くお客を集めたクラスには
学食でデザート付きスペシャルセットが無料で食べられる権利が与えられる

このセットに付くケーキがメチャメチャ美味いと
男子よりも女子に人気が高いんだ

「僕はそこまで…」

そうだよな…猫娘の衣装、もう着たくないって言ってたもんな

でも 俺はもう一度見たい

「翔、クラスメイトが困ってるんだから
手伝ってあげたら?」

それとなく勧めてみた

「さと兄?」

「違うでしょ、智…
あんた自分が見たいだけでしょうが」

やっぱニノにはバレたか…

「さと兄…本当に見たいの?」

「えっ…あ、うん…見たい…」

「じゃあ着る。
その代わりさと兄、一緒にいて?」

小首を傾げてお願いしてきた
こんな嬉しいお誘い断るわけないでしょ…

「いいよ、いてやるよ」

「ありがと…」

「ありがとうございますっ!お兄さん!
せっかくだから お兄さんの衣装も用意しますね!」

「はっ?」

その女子に腕を引かれ、気が付けば鬼太郎の格好に…
ご丁寧に髪までセットされた

「これでケーキは貰った!」

ガッツポーズで宣言した彼女の言葉通り
翔のクラスが1位になり商品を勝ち取った


「あれ、本来ならウチのクラスの女子たちに非難浴びてもおかしくないから…」

でも 誰かが流出させた『猫娘と猫娘を守る鬼太郎』のツーショット写真のおかげで
『許す!ケーキより良い!』って許して貰えたんだ

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