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take a breather

第11章 君のうた

麦茶の入ったグラスを持って
俺のすぐ横に座る翔

ゴクゴクと喉を鳴らしながら飲むその姿を見ていたら翔と目が合った

「さと兄も飲む?」

半分くらい麦茶の残るグラスを差し出された

「あっ、イヤ 大丈夫」

「そう…じゃあ飲んじゃうよ?」

そう言って残りの麦茶を飲み干した

「何みてたの?」

「え?」

突然聞かれ答えに戸惑う…

「テレビ…何観てたの?」

あ…そっち…

テッキリ翔に見惚れてたことを聞かれたのかと思った

「いつものバラエティ…」

「今日は何やってた?」

毎週この時間に観てる番組
日によって企画は違うけど考え事をしてたから内容は全くわからない

「え、と…なんだったかな…」

「今観てたのに覚えてないの?」

「うん…まぁ…」

「疲れてる?」

「かな…」

「そっか…じゃあもう休もうか…」

グラスを持って立ち上がってしまった翔

失敗した…せっかくふたりだけの時間だったのに

翔はキッチンでグラスを洗い戻ってくると
ソファーに座る俺に向かって微笑んだ

「行こう?さと兄」

今更疲れてないとは言えない…

「う、ん…」

今日のところはおとなしく寝るか…

これから先、いくらでも時間はあるんだし

二階に上がり手前にある翔の部屋の前を通り過ぎようとした…のに

「翔?」

翔の手が俺のシャツの裾を掴み
歩みを止められた

「…今日は 一緒に…ね?」

ピンクに染まった頬
少し伏せた視線がやけに色っぽい…

誘われた理由は考えるまでもない…よな?

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