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take a breather

第12章 Step and Go

「気持ちはわかって貰えても体がなぁ…」

「何言ってるんですか
体なんてもっと最高ですよ?
それこそ男の体を熟知してるんですから」

これまたニコッと笑うマサキ

「そうなのか?」

「そうです」

自信満々なのは自分の経験談だから

「あ、そう言えば今日のピアノ
カズじゃないんだな」

「あ〜、今日は体調不良でピンチヒッター頼みました
ここの常連の方なんですけど
以前カズが休んだ時にたまたま来店してて弾いてくれたんです
それ以来カズが弾けない日は頼んで来て貰ってます」

「体調不良?風邪でもひいたのか?」

「いえ…ちょっと腰を痛めて
長時間のピアノ演奏はキツイだろうから休ませました」

少しバツの悪そうな顔

「マサキの責任か…」

「それだけ『イイ』って事です」

ここのピアニスト兼マサキの恋人…カズ

店に入った瞬間にいつもと違うピアノ演奏に気付いた

ここからだとピアノが邪魔して顔は見えないんだけど
ピンチヒッターと言う割には演奏はなかなかのもん

「さっきの話に戻りますけど 試してみます?」

「試す?何を?」

「男のカラダ…です」

「え⁈」

「今日は丁度良い相手が来てるんで」

「丁度良い相手?」

「はい。体を試すには丁度良い相手…
さっき話したピンチヒッターの彼なんですけど
どんな人相手でも一夜限りの関係しか持たないんで」

「え?なに?ウリでもしてるの?」

「違います…
お金のやり取りは一切ありません
ただ一晩抱き合うだけ…
その代わりどんなに彼の体に惚れても二度目はないんですけどね」

「どういうこと?」

「彼も大野さんと違う理由で愛を諦めてる人だから…」

マサキが哀しそうに微笑んだ

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