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take a breather

第12章 Step and Go

愛を諦めてる?

俺は諦めてると言うよりも面倒くさいだけ

この先、好きになる相手に出会うことがあれば
それはそれで愛を受け入れる

「なんで諦めたんだ?」

「信じられなくなったから」

「愛を?」

マサキは小さく頷くと視線を伏せた

「…それと 人も…」

「人も?」

「愛してた人に捨てられた…
しかも相手の人は女性と結婚したんです
彼女に子供が出来たからって…」

「二股?」

「そういうこと…なんですかね…
詳しい話は聞いてないのでわかりませんが
彼にとっては愛を諦める程の傷を負ったってことです」

「なんでそんな人が体だけの相手を求めるんだ?
それこそ傷を深くするんじゃ…」

「もう傷つきたくないから心は求めない
だから同じ人には2度抱かれない
でもカラダは人の熱を求めるから夜な夜な違う相手を探してる
哀しい話ですけどね…
体が熱を求めてるって、人の温もりを求めてる事だと思うんですけど
彼はそれを否定するんです…
『ただ欲求を解消したいだけだ』って…」

言ってる事は俺と同じようだけど
その後ろに抱えてる思いは真逆に近い…

そんな相手にエッチしろって言われても無理だろ

「マサキ…俺やっぱ…」

断ろうと口を開いた瞬間
マサキの視線が俺の頭上に向いた

「お疲れ様、ショウ。今カクテル作るね」

「ありがとう…」

ひとつ席を空けて座ったその人物は少し甘く…そして爽やかな香りを纏っていた

なんとなく顔をそちらに向け辛い…

「お待たせ」

マサキが彼の前にカクテルを置くとその彼がこちらを向く気配がした

「今夜は貴方が相手してくれるの?」

「え?」

「ビトウィーン・ザ・シーツ…」

彼がカクテルグラスを手に持つ

「『ベッドに入って』…マサキからの贈り物」

グラスがゆっくりと彼の口元に運ばれる

そのグラスを視線で追っていき
はじめて彼の顔を見た

男?…だよな…

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