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take a breather

第13章 Monster

「その人…どんな人だったの?」

「ん〜頭は良いんだけど、おっちょこちょいな所もあって
そこがメチャ可愛いんだ…
それとすんげぇ努力家
ほんとは不器用なんだけど
おいらが怠け者だったから頑張って料理もしてくれてた
おいら、甘えてんなぁ…と思ってたんだけど
それでいいって言ってくれて
『サトシはいてくれるだけでいい』って…
それなのに病気になんてかかっちまって
『いてくれるだけでいい』って言ってくれたアイツを裏切って泣かせちまった」

「もしかして、その約束を守るために生き返ったの?」

「いや、違う…
アイツと最後に交わした約束は
アイツが薬草を持って帰ってくるまで
生きて待ってる事…
なのにっ、アイツが帰ってくるのを待てなかった…
それどころか、おいらのせいでアイツを死なせた…」

「どう言う事?死なせたって…」

「生き返ってすぐにアイツの所に行こうとした…
でもアイツ、何日も経つのにまだ帰ってきてなくて
だから山に探しに行ったんだ
そしたら、崖下に冷たくなってるアイツを見つけた
アイツ…おっちょこちょいだから、きっと足を滑らせて落ちたんだ…」

話してる智くんが段々と苦しそうに…

「ごめんね、哀しいこと思い出させて…」

「おいらこそ…ごめんな…」

智くんが切ない眼差しで俺を見る

そんな目で謝らないでよ
智くんに哀しい話をさせたのは俺なのに…

頭を下げてしまった智くん

「ごめん…ショ…」

小さな謝罪の言葉は途中で消えた

テーブルに乗ってる智くんの手を上からギュッと握る

「その人は裏切られたなんて思ってないよ…
智くんに謝ってなんて欲しくないと思う
だってその人は智くんの為じゃなく
自分の為に智くんを助けたかったんだから」

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