テキストサイズ

take a breather

第13章 Monster

「お疲れ〜」

「お疲れ…」

今夜は前々から約束していたニノとのふたり呑み

ビールジョッキをカチンと合わせ
ビールをグビグビ煽るニノに対し
一口だけグビリと飲む俺…

「何?本当に疲れてそうだね、翔ちゃん
もしかして無理に付き合わせちゃった?」

「あっ!ううんっ、大丈夫疲れては無いよ」

「ふ〜ん、『疲れては無い』んだ…
じゃあ何かあった?」

「え⁈ないない!何も無いよ」

あんな夢の話をニノに出来る訳ない…

それに智くんの存在をニノに説明出来ない

『実は今、吸血鬼と同居しています』なんて言ったら絶対頭がおかしくなったと思われる

「翔ちゃんってさぁ…
頭は良いんだけど、嘘つくのは下手だよねぇ…」

指摘され手に持つビールジョッキに視線を落とす

「そんなことないよ…」

「ほら、視線外した
嘘つくのが心苦しいから目を見て話せないんでしょ?」

「そっ、そんなことないっ」

視線を上げてニノを見るとニノは苦笑いをしている

「そうやってムキになるとね?『そうです』って認めてるようなもんなんだよ?
翔ちゃん、俺が心療内科もやってるの覚えてる?」

そうだった…ニノは学生の頃から人の気持ちを読むのが上手くて
実家は内科だけど心療内科をやりたいって言ってたんだ

黙り込んだ俺にニコッと笑うニノ

「決まりだね。何があったのさ、翔ちゃんが悩むなんて珍しい
仕事の事じゃないんでしょ?
そんな浮かない顔して…
報われない恋でもしてる?」

報われない恋?

夢の中の俺は間違いなくサトシに恋をしている

夢から覚めても俺は夢の中の人物に恋をしているんだろうか…

だとしたら…それは間違いなく報われない恋だよな

ストーリーメニュー

TOPTOPへ