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take a breather

第13章 Monster

「その拾った『智くん』そっくりの『サトシ』に恋して抱かれたってことはさ
『智くん』の事が好きって事なんじゃないの?」

「そっ、そんなっ…だって智くんは…」

吸血鬼…そう言いそうになって口を閉ざした

「『だって』なに?
男だからとでも言いたいの?」

違う…それはそんなに大きな問題じゃない
問題は智くんが人間じゃないって事…

人間と人間ならざる者の恋…

永遠に生き続け、歳をとらない智くんとの恋は成立するんだろうか

ずっとひとりの人を想い続けていた智くんが
俺の事を好きになってくれる可能性はあるんだろうか

そして気が付いた…

真剣にこんな事を考えてる俺は
ニノの言うように智くんの事を好きになってたんだって事に

「はぁ…」

溜息を吐いて項垂れる

「翔ちゃん?」

「ニノぉ…俺、『報われない恋』してるわ…」

「『智くん』がノーマルだから?」

「ううん…多分、智くんはノーマルじゃない」

智くんの話を聞いてて思った…智くんの恋人は、おそらく男の人

「じゃあ何も問題ないじゃん
告白すればオッケー貰えんじゃないの?
ひと月以上同棲してんだから
あっちだって翔ちゃんの事、悪く思ってないでしょ」

「同棲じゃなく、同居だよ…」

「細かいことは気にしない
でさ?実際それっぽい事言われたりしないの?
異様にスキンシップが多いとか?」

「それはない…」

智くんが俺に言い寄って来ることは
『いつになったら直接吸わせてくれるの?』ぐらい…

やっぱ、俺…智くんにとっては餌的存在なのかな…

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