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take a breather

第13章 Monster

翌日、予定通りレンタカーで葉山の別荘へ

別荘に着いて荷物を下ろすとすぐに海に向かった

雲ひとつない夜空…
しかも今日は満月で、波が穏やかな海はキラキラと輝いて見える

「ほんと 智くんの言う通り綺麗だね、夜の海」

「でもちょっと寒かったか」

「そうだね。でもふたりだから大丈夫」

智くんにピタッと寄り添うように立つと智くんが肩を抱いてくれる

浜辺に俺たち以外の人影はない…

「…ねぇ、智くん」

「ん?」

「直接ね…血、吸っていいよ?」

「翔?」

智くんが俺の方を見たから俺も智くんに顔を向けた

「俺ね…ずっと考えてた…
最初、智くんに『血を吸わせて』って言われてから色んな事考えたよ?
智くんは何百年もの間ひとりで生きてきて辛かっただろうな、とか
もし俺が吸血鬼になった後
誰かと結婚して、奥さんと子供が出来たら
その人たちは老いて亡くなるのに
自分は若い姿のまま愛する人たちを看取らなきゃいけないのかな、とか…」

智くんの事を好きだと気付くまでは
自分が吸血鬼になる事に不安しかなかった

でも 今、智くんと想いが結ばれて
智くんと一緒なら永遠の命でもいい、って思えた

不安が無いわけじゃない…

今までの生活を捨てなきゃいけないんだから

それでも吸血鬼になることを選んだのは
智くんが吸血鬼になった理由が生まれ変わる前の俺…ショウタが原因だってわかったから

ショウタとの約束を守る為に智くんは吸血鬼になってしまった

だったら俺は智くんと永遠に生きる…

それが今まで辛い思いをして生きてきた智くんに出来る償いだから

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