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take a breather

第13章 Monster

「ほんとにいいのか?」

智くんが真剣な表情で聞いてくる
俺は静かに頷いた

智くんは初めて会った時に見せたフニャっとした笑顔を見せ俺にそっとキスをした

「愛してるよ、翔…」

智くんは優しい笑顔を浮かべると
ゆっくりと俺の首元へ顔を埋めた

チュッと吸われチクッとした痛みを感じる

「んっ…」

智くんが顔を上げ俺を見つめる

なんの変化も感じられないけど
これで俺も吸血鬼になった?

「智くん…」

智くんに確認しようと口を開くと
智くんはまたフニャっと笑った

「翔は人間のままでいて?」

「えっ?」

「今のは噛んでないよ
強く吸ったからキスマークは付いたけど」

「え⁈」

さっき吸い付かれた所を手で触れる
確かに噛まれた跡は無さそう…

「なんで…」

「おいらね、ショウタの生まれ変わりに逢えたら
ひとこと『ごめん』って謝って死のうと思ってた
もういい加減生きてるの飽きたし…
ショウタを死なせてしまったことだけ悔いていたから
それだけ謝れればいいや、って…」

それは少し感じてた…

智くんは目的を果たしたら死んでしまうんじゃないかって

だから少しでも生きている事に楽しみを感じて欲しくて
外に連れ出したり、趣味を持たせたりしようとした

「ショウタがどんな風に生まれ変わって来るかわからなかったから
また愛し合えるとは思ってなくて…
でも翔に逢った時、おいら翔にひと目で恋をした
だから翔とずっと一緒にいたいと思って
『血を吸わせて』って言ったんだ」

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