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take a breather

第13章 Monster

「だったらなんで?
噛めば永遠に一緒にいられるのに…
それともやっぱりずっと一緒にいるのは飽きる?」

生きている事に飽きたって言ってた…
それと同じように今 愛し合ってても永遠に一緒にいるのは躊躇われる?

智くんが困ったように微笑む

「確かに生きている事に飽きてきてた…
ひとりきりで何百年も生きて
ショウタに再び巡り会う事だけを支えになんとか生きてきた
翔とふたりならその孤独だった時とは別の生き方が出来るかもしれない…」

「だったら噛んでよ。俺も智くんと一緒に永遠に生きる」

智くんはゆっくりと首を横に振る

「人間として生まれて来たんだから
人間として一生を終わらせた方がいい…
短い時間を懸命に生きるから人生を楽しめるんだよ」

「でも それじゃ智くんはまたひとりになっちゃう…」

「もうひとりにはならないよ…
今度は翔と一緒に死ぬ
翔と一緒に生きて、翔の命が尽きる時…
その時、おいらも一緒に死ぬから
だから翔は今の…人間として普通の生活を送って?」

「智くん…」

「そんな哀しそうな顔すんなよ」

「だって…智くんが死ぬなんて言うから…」

病気や事故なら仕方ない…
でも智くんの場合は自分で命を断たないと…

「何百年も前に一度死んでんだぞ?
それに好きな人と一緒に死ねたら幸せだろ
違うか?
翔がおいらと永遠に生きるって言ってくれた覚悟と同じだよ…
おいらは翔と一緒に死ぬ」

そうか…どちらかに合わせるとそうなるのか

永遠に一緒に生きるか
俺が死ぬ時に一緒に死ぬか…

どちらも相手を想っての事

なら今はまだ人間のままで良いのかもしれない

いつか考えが変わったら
その時、吸血鬼になればいいんだから…

慌てることは無いんだ

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