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take a breather

第3章 このままもっと

「そういえばさ、潤から連絡来てたけど
翔くんの所にも行ってる?」

「潤?来てないよ?」

潤は高校の時の同級生。
地元の大学に通い、地元の会社に就職した。

俺と智くんが東京に来てからも、連絡を取り合って遊ぶ仲。

「そっか…話したい事があるからこっちに来るって」

「話したいこと?
なんだろ?潤が遊びに来るのも久しぶりだよね?」

今年の正月は実家に帰らなかったから潤と会うのも一年ぶりくらいか?

「来週こっちに来たいんだけど、都合どう?って」

「来週かぁ…多分大丈夫」

アイツと急に別れることになったから、予定してた外出も全てキャンセルだ…

公開を楽しみにしてた映画も、日帰りで計画していたスキーも…

ひとりでなんて、行けるわけない…

あ…ヤバい…思い出したらまた泣きそう…

「じゃあ、潤には俺から連絡しておくね」

「ん…」

泣くのを堪えてるから頷くことしか出来ない。

泣きそうなことを智くんにバレないように布団を深く被り直した、なのに…

智くんは俺の背中に手を回し、トントンと優しく叩いてくれるんだ。

やっぱり、智くんには何でもお見通しなんだね。

智くんの胸に顔を埋めるように潜り込んだ。

「おやすみ、翔くん」

優しくて、温かい智くんの声。

背中を叩くリズムと智くんの心音が、心地よい眠りに誘ってくれる。

なんでだろ…さっきまで泣きたかったハズなのに…

今は体だけじゃなく、心までも温もりに満たされている。

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