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take a breather

第14章 Find the answer

翔くんがこんなことをするなんて…

呆然としていると湯船に浸かった翔くんが俺を呼ぶ

「智くん」

「え…」

「こっちおいでよ」

ニコッと笑う翔くん

「あ…うん…」

いつも真面目な翔くんにあんなこと…

思い出しただけで恥ずかしい

「ここ、座って?」

翔くんが脚を開きその間に俺を座らせる
今は顔が見えないことがせめてもの救い…

これで面と向かい合って座ったらどうしていいかわからなかった

体育座りのようにして膝を抱え俯いて座る

「智くん、引いた?」

「え?」

「いきなりあんなことしたから…」

「引いてはない…けど、驚いてはいる」

「そっか…ごめんね、抑えられなくて」

翔くんが後ろから優しく包み込むように抱きしめてきた

「抑えられない?」

「そ…俺さ、ずっと智くんのこと好きだったけど
付き合って欲しいとかは考えてなかったの」

「翔くんが言ってくれたら
俺もっと早く自分の気持ちに気がつけたかもしれないのに」

「それをね、したくなかった…
俺、あなたと付き合ったら色々と抑えが効かなくなりそうで怖かった」

「怖い?なんで?」

「あなたが好き過ぎて…
さっきみたいなことも平気でしちゃうし
もしかするとあなたを俺に縛りつけちゃうんじゃないかって…」

「それはいいって言ったじゃん
翔くんになら縛られてもいいのに」

「だからダメなんだって…
それをしたらあなたはあなたじゃなくなっちゃう
自由でいた方があなたの才能は生きる…
好きだけど、好きだからこそあなたに気持ちを伝えられなかった
でも、今回はあなたが嵐を離れて自由になるから
だったら俺があなたの戻る場所になろうと思った」

「戻る場所?」

「そうだよ?あなたは自由になるとどこまででも飛んで行っちゃうから
そうすると戻る場所さえ見失うかもしれない」

「う〜ん、なんかわかるかも…」

「ふふっ、それはそれであなた自身も不安を感じるし
『俺には帰る場所がない』なんて見当違いのことを考えられたら困る
みんなあなたの帰りを待ってるのに…
だからね、俺がちゃんと教えてあげる
あなたの帰る場所はここだよ、って」

翔くんがギュッと強く抱きしめてきた

「うん…」

やっぱり抱きしめるより
抱きしめられる方がドキドキする…

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