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take a breather

第15章 二人の記念日

「ちわ〜」

営業が始まってすぐの時間
休日のせいか店内はまだ客が数人…

ニノがカウンターから顔を出した

「大野さん?いらっしゃい
珍しいね、休みの日に来るなんて
しかもひとり?」

「ん、まぁちょっとな」

「あれ?そのケージ、ブルー?」

「おう、だいぶ成長したから見てもらおうと思って」

ニノがフロアーに出てくるとケージの中を覗く

「あ、ホントだ。もう立派な猫だね
ブルー久しぶり、俺のこと覚えてる?」

「みゃあ〜」

嬉しそうなブルーの鳴き声

「おぉ、覚えてるのかぁ」

ニノも嬉しそうだ

「大野さん、すぐ帰る?」

「いや、今日は特に予定ないからメシ食ってく」

「なら奥の部屋使って?
料理出来たら運ぶから
そのうち雅紀も来るからさ」

「やっぱ、来るんだアイツ」

「まぁね、タダで働いてくれるから助かるよ」

「また、そんな事言って…
本当は嬉しいんだろ?会いに来てくれるの」

会社員の相葉と飲食店経営のニノじゃ、会う時間を作るのは難しいだろう

「さぁ?どうでしょ」

惚けた答えをするが顔は僅かにニヤけてんぞ?
素直じゃねぇんだから、ホント…

「カズさぁん」

「お?来たな、相葉」

「えっ⁈あれ?大野さん?なんで?」

俺の姿を見るなり驚く相葉
予想以上の反応が引っかかる

「『なんで?』ってなんだ?
俺がここにいるのがそんなにおかしいか?」

「あ、いえ…
ただ、さっき翔ちゃんらしき人を見かけたから
テッキリ大野さんも一緒なのかと…」

「翔を見かけた?何時頃?」

「ここに来る途中だから10分くらい前です」

10分前?そんな筈はないだろ

翔が家を出てから1時間以上経つぞ?
それを相葉が10分前に見るなんて不可能だ

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