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take a breather

第15章 二人の記念日

「この材料、今日はシチューですか?」

「ん、そう。作っておけば翔が帰ってきた時にすぐに食べられると思ったから」

「ありがとうございます
俺も手伝いますね?」

そう言ってピーラーを手に取る

「大丈夫か?指切るなよ?
ってか、お前どうしたその指」

翔の左手の人差し指に巻かれた絆創膏
今朝までは無かったよな?

「あ…実家で玄関のドアに挟みました」

「玄関のドア?だったら絆創膏じゃなく
湿布した方がいいんじゃないか?
ドアに挟んだんじゃ腫れるだろ」

様子を見ようと手を伸ばすと慌てたように引っ込めた翔

「だっ、大丈夫ですっ
ほんのちょっとだけなんで…」

「そうか?でもその手じゃ食材持ちづらいだろ
無理に手伝わなくていいぞ?」

「それくらい出来ますよ」

って言うけどさ
ここに来て間も無くの頃、ピーラー使って指切った実績あるよね?

最初に比べればピーラーは使えてるみたいだけど
それでもぎこちない感じが見ていてハラハラする

翔が頑張ってるからやらせてはいるけど

世の中の親の気持ちがわかるよなぁ…
可愛い子には怪我はさせたくない
でも、やらせないとのちに困るからドキドキしながら見守るしかないんだ


「ほらっ、出来ましたよ?」

まな板の上には綺麗に皮の剥けたジャガイモと人参
あれ?いつのまにかだいぶ進歩した?

「お疲れ。切るのは俺がやるな?」

「はい、お願いします」

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