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take a breather

第15章 二人の記念日

この寒空の中、いつまでも外にいる訳にもいかず家に帰ることにした

玄関のドアをそっと開けリビングに入ると
体育座りをした翔が足を抱え膝の上に顔を伏せていた

その傍らには
お座りしたブルーが心配そうに翔を見つめている

「みぃ…」

俺の気配に気付いたブルーが鳴くと翔が顔を上げた

「ブルー…俺、どうしたら…」

「み…」

俺の方を見たまま鳴くブルー

「ブルー?」

翔がブルーの視線を追い俺の存在に気付いた

「智さんっ!」

勢いよく立ち上がり走り寄ってきた翔の瞳は明らかに泣いた後の目

「ごめんな…」

「いいえっ!俺が悪いんです
俺がっ…」

「翔…」

「は、い…」

「この家…出ていくか?」

「…え」

「その方がいいだろ?」

お前の為にはその方が…

大きく見開かれた翔の目からポロポロと溢れ出す涙

「泣くなよ…悪いのは俺なんだから…
お前を縛り付けてた俺が悪いんだ
お前をもっと自由にしてやってたらこんな事にはならなかった…
だから今更遅いかもしれないけど
別々に暮そ?」

「ごめ、なさ…」

「だからお前は悪くないって…
ひとりの時間を持たせなかった俺が悪い
息が詰まってハメ外したくもなるよな?
だから今回のことは俺の責任…」

「ちがっ…」

泣き過ぎて声が出せないのか
俺の洋服を握りしめ首を振る

「ごめん…翔…」

そっと抱きしめてやると俺の肩に額を乗せ首を振り続けた

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