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take a breather

第15章 二人の記念日

午前中、ひとりで関西商事に出掛け
会う人会う人に『今日はお一人なんですか?』と聞かれた
『櫻井は今日、休みを頂いてます』と答えるとみんな残念そうな顔をする

多くの人から好意を向けられる翔…

そんな人間を俺が独占してると知られたらどれだけの人に恨まれることか

俺が翔と付き合えてることは
きっと奇跡に近いんだ

それなのに俺ときたら…
思い上がってるよなぁ

翔の全てを俺ひとりのモノにしたいなんて

「はぁ…」

自己嫌悪に陥って溜息が出る

「あれ?大野さん?」

呼ばれた声に顔を上げれば私服姿のニノがいた

「ん?あれ?ニノ?なんで私服?」

「今日、店休みだから」

「あ、そっか…」

ニノの店は月一回だけ月曜日を休みにしてる
銀行に行ったり、昼間じゃないと出来ない仕事をする為だそうだ

「どうしたの?こんな所で」

「ん?営業の帰り」

「今日もひとり?櫻井さん一緒じゃないの?」

「あぁ…ちょっとあってな、会社休ませた」

「なに『ちょっと』って
まさか昨夜ヤリ過ぎたとかじゃないだろうね?」

「ばっ、ばかっ!そんなことあるはずないだろっ!」

「ふ〜ん…てっきり昨日ひとりぼっちでお留守番させられたのが寂しくて
夜、その分取り返したのかと思った」

「そ…なこと、しねぇよ…」

「って言う割には元気ないんじゃない?
何かやましい事あるの?」

「……」

「これからお昼?」

「うん、まぁ…」

「じゃあ家来なよ
俺もこれから昼だから」

「でも店休みなんじゃ…」

「昨日の残りのカレーがあるからそれでいいだろ?
雅紀も来るし」

「相葉も?なら行かせて貰おうかな」

「何…俺ひとりじゃ駄目なの?」

「駄目ってかさ…相葉が面白くないんじゃないの?
ニノが誰かとふたりきりって…」

「あぁ〜、大丈夫でしょ?
前は酷かったけど、最近はそうでもないから
誰かとふたりきりでいたって何も起こらないってぇの」

ニノが苦笑いした

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