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take a breather

第15章 二人の記念日

翔の手料理が気になって大急ぎで着替えキッチンに向かった

菜箸でボウルに入っているものを勢いよくかき混ぜる

でも力任せの雑なかき混ぜ方ではなく
料理が手慣れた感じの混ぜ方

その混ぜたものをフライパンに一気に流し込んだ

「卵?」

翔の隣に立ってフライパンを覗く

「はい」

短く返事をする翔の顔は真剣そのもの
クルクルと菜箸で卵をかき混ぜたかと思ったら
トントンとフライパンを叩き卵をまとめていく

「出来たっ」

嬉しそうな翔の声

「智さん、そのお皿取ってください」

「えっ、あっ、これ…」

白い皿の上にはチキンライスが盛られていた

その皿を翔に手渡すとオムレツをチキンライスの上に乗せる

「オムライス…お前、なんで…」

こんなに難しい料理、いつの間に?
翔は更にその上にソースを掛けた

「デミグラスソースは手抜きです
市販の物に少し手を加えて作りました」

同じようにもう一つオムライスを作りリビングに運ぶ

他にも料理を作っていたようで
野菜たっぷりの具沢山スープも運ばれてきた

「これも翔が作ったの?」

「そうですよ?野菜切ってコンソメスープで煮るだけなんで超簡単なんですけどね」

それにしたって、つい最近まで全く料理が出来なかった翔にしてみれば大進歩だ

「本当は明日作りたかったんですけど…」

「明日?」

「はい…」

少し残念そうな顔…なんで明日?

明日って…11月26日…

「俺の…誕生日?」

翔がコクンと頷いた

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