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take a breather

第3章 このままもっと

「ただいまぁ〜」

「おかえり」

帰宅してリビングに行くと智くんがキッチンから顔を出した。

「おなかすいたぁ。
今日の夕ご飯なに?」

「今夜はハンバーグだよ」

「やったね」

「もう焼けるから着替えて来ちゃいなよ」

「うんっ」

自分の部屋でスエットに着替えてキッチンに入る。

「ごはんと味噌汁よそって?」

「オッケー」

水道で手を洗い、2人分のごはんと味噌汁をよそった。
それをリビングのテーブルに運ぶと、智くんがハンバーグを乗せた皿を持ってきた。

「さっ、食べよ」

「うん。いただきま〜す」

「いただきます」

一口サイズに切ったハンバーグを口に頬張る。

「うまっ!」

「良かった」

「智くんって何作っても旨いよなぁ。
俺、何も作れないからさぁ、ほんと申し訳ない」

「そんなのいいって言ってるじゃん。
料理は俺の趣味なんだよ」

この10年間料理は智くんの担当。
俺も試そうとはした。

でも、初めて包丁でジャガイモの皮を剥いた時に指を切って以来、智くんが俺に包丁を持たせてくれない。

『俺、料理するの好きだから料理は俺の担当な』って言ってくれたけど、絶対違うよね。

作って貰っておいて言うのもなんだけど、最初の頃は智くんだって大した料理を作れなかった
以前からやってた訳じゃない
俺にやらせない為にそう言ってくれたんだよね?

その言葉に甘えて智くんに任せちゃってるけどさ。

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