テキストサイズ

take a breather

第16章 WISH

「でね翔ちゃん、こっちが俺のイトコの智
年はひとつ上だけど、気遣い無用だから」

「どんな紹介の仕方だよ…」

「だって智そういうの全然拘らないじゃん
中学の時だって後輩から『大野くん』って呼ばれてたんだろ?」

「まぁ…小学校までは『君』で呼ばれてたのに
中学入っていきなり『大野さん』なんて呼ばれたら照れるじゃん」

「そう?それが当たり前なんじゃないの?
社会に出たらみんな『さん』呼びでしょ?」

「社会に出たらそれはそれで合わせるけど
今はまだ『君』でいいよ」

「あの…」

櫻井くんが遠慮気味に声を掛けてきた

「ん?なに?」

「僕は何てお呼びしたらいいんでしょう?」

やっぱり真面目な子なんだな
真剣な顔で質問してきた

「『大野くん』でいいよ
櫻井くん、雅紀も言ったけど
俺に気を遣わなくていいからな?
その代わり俺も気を遣わないから」

どうせ1日だけの付き合い
それなら少しでも楽しく過ごせた方がいい
なんせクリスマスイブだし?

雅紀みたいに友達と仲良くパーティーとはいかないけど
つまらない思いはしたくない

「 はい。では大野くん、よろしくお願いします」

櫻井くんが俺に向かって深々と頭を下げた

う〜ん…こんな堅い子と楽しく過ごせるかな…

あんま自信ないや…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ