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take a breather

第16章 WISH

「翔くん、早速で悪いけど智と一緒に箱詰めして貰っていい?
あまり時間もないから」

「はい。わかりました」

「智、翔くんに荷物の置き場所教えてあげて
その後は一緒に箱詰めよろしく」

「うん、わかった
櫻井くん、こっちおいで?」

「はい」

事務所に案内して空いてるロッカーの扉を開けた

「ここ使って?
中にハンガー掛かってるから、コートも一緒にしまえるだろ?」

「はい、ありがとうございます」

荷物をしまい、ダッフルコートを脱ぐと
白いタートルのセーターとジーンズ姿になった

少し大きめな作りのセーターをダボっと着て
タイトなジーンズが脚の細さを際立たせる

佇まいがお上品だからかな?なんだか可愛らしい
色は白いし、唇はポテッとしててツヤツヤしてる…
前髪が下りてるせいで眉毛も隠れてるし
あとは眼鏡が銀縁じゃなかったら…

「大野くん?行かないんですか?」

不思議そうに俺の顔を見ている櫻井くん
やばっ、俺なに考えてんだ?

「え…あっ、片付け終わった?
なら行こうか」

「はい」

工房に戻って箱詰め作業を黙々とこなす

やっぱり真面目は真面目らしい…

雅紀とやるとたまに無駄なおしゃべりが入るけど
櫻井くんは終始無言で作業を終えた

「お〜、早かったな
ふたりとも開店まで少し休んでおいで」

予定より30分ほど早く終了

「ん、櫻井くん。事務所行こ?」

「はい」

事務所に置いてあるポットで飲み物を入れる

「何飲む?コーヒー、紅茶、あとココアもあるな」

「あ、じゃあココアで」

「やっぱり甘いの好きなの?」

「え?」

「ここのケーキが好きだって言うから」

「あ…はい…おかしいですよね、甘いものが好きな男なんて…」

少し俯いてしまった櫻井くん

「いいや、実は俺もスイーツ男子」

「えっ⁉︎本当ですか?」

櫻井くんが勢いよく顔を上げた

「うん。ここのケーキも大好き」

「ですよね!ここのケーキ最高においしいですよね!」

またまたテンションが上がった櫻井くんに
イメージがどんどん変わっていく

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