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take a breather

第16章 WISH

「綺麗だな…」

思わず口を突いて出た言葉

「え?」

キミは不思議そうに俺を見る

「あ…イルミネーション、綺麗だね」

『あぁ』と木を見上げ納得したようにキミは頷いた

「でしょ?だからつい見とれちゃった」

「俺も…」

キミに見とれてた…


当初の目的である連絡先の交換を済ませても
なかなかこの場から立ち去る事が出来ないでいた

このまま帰ってしまうのがとても惜しい気がして…

「まだ時間大丈夫?」

「え?うん…大丈夫だけど」

「じゃあさ、メシ食いに行かない?
夜メシ食ってないから腹減っちゃった
ウチに帰っても今日はご飯用意されてないんだよね」

「僕も…バイトが何時に終わるかわからなかったから用意しなくていい、って言ってきちゃった」

「なら決まりな?どこ行こっか」

「近くのファミレスとかでいいんじゃない?」

「そうだな、そうしよっか」

「うんっ」

櫻井くんとふたりでイルミネーションの下を歩いてく


「はぁ…マジか…」

近場のファミレスは満席状態

平日だから混んでいないと思ったのに
仕事帰りの人や学生らしき人たちの団体客で店はごった返していた

一度外に出て検討しよう

「どうしよっか…」

櫻井くんも予想外だったらしく困惑気味…

「ん〜、きっと他の店も同じ状態だよなぁ」

「だよね…ケーキでいいならあるんだけど
大野くん、ケーキじゃ嫌だよね?」

櫻井くんが手に持っていた箱を目の前に上げる

「それは櫻井くんが楽しみにしてた物だろ?」

「うん。でももう時間も遅いし
もし大野くんがいいなら半分ずつ食べない?」

「いいの?」

「もちろん。クリスマスだから
ひとりで食べるより誰かと分け合った方が美味しいよ?きっと…」

「それならいただこうかな?」

「うんっ」

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