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take a breather

第17章 Love so sweet

「どうぞ」

玄関のドアを開け、翔を招き入れる
少し緊張した面持ちの翔が足を止める

「どうした?入れよ」

「あ、うん…お邪魔します」

なんだかよそよそしい

ゆっくりとした足取りで玄関の中に入るも
そこでまた足が止まる

「翔?」

「え?」

「え?じゃなくて、早く上がれよ
そんなとこにいたら寒いだろ?」

「あぁ…うん」

靴を脱いだのを確認し、部屋の中へと進んでいく
後ろに翔がついてくる気配はあるが
明らかに様子がおかしい

リビングの灯りを点け
エアコンのスイッチを入れる

振り返ると部屋の入口に立ち尽くす翔がいた

「翔?お前どうした?こっち来いって」

ゆっくりとこちらに近付いてくる

「なんか緊張する…」

「へ?」

「智の部屋だと思うと、緊張する…」

「なんで?」

「なんでだろ…
智の過去がわかっちゃいそうだから?
元カノとの思い出とか…」

「あ〜、なら大丈夫。
俺、そういうの一切ないから」

「一切?写真とかないの?」

「ナイナイ。一緒に撮ったことはあっても一枚も手元に無いよ」

「どういう事?」

「写真にして残しておきたいと思う相手がいなかったってことじゃね?」

「写真以外のものは?彼女の忘れ物とか」

「ん〜、それもねぇなぁ…
俺 基本、家に彼女連れて来ねぇし」

「なんで?」

「他人に家に上がられるのあんま好きじゃないから」

「他人って…恋人でしょ?」

「まぁ…一応…」

「そう言えば智 言ってたね
ロクに恋愛してないって」

「お前に逢うまではそうだったな
『コイツのことメチャメチャ好きだー!』って思ったことは一度もない」

「じゃあ俺のことは?」

聞かなくてもわかってるくせに

でも聞きたいんだろ?
聞かせてやるよ…
お前のとびきりの笑顔が見たいから

「メチャメチャ好きだよ」

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