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take a breather

第18章 君への想い

僕と翔くんは同じ旅行会社で働いている

同期入社なんだけど
翔くんはツアーコンダクター、所謂ツアコンで
僕は窓口で手続きをする係り

普段は殆ど接することがない
でも、同期のおかげか
こうして翔くんがツアーから戻ると
お土産をくれるんだ

翔くんとの出会いは入社式

緊張して前の日ちゃんと眠れなかったせいで
式中に居眠りをしてしまった僕

ゆらゆらと揺れる僕を具合が悪くなったと勘違いして
隣に座っていた翔くんが体を支えてくれた

『大丈夫?医務室連れてこうか?』

耳元で囁かれる少しハスキーで優しい声
ドキッとし、一瞬にして目が覚めた

『ううんっ、大丈夫…ありがとう』

そう言って初めて見た彼の顔…

綺麗な二重瞼…その奥の綺麗な瞳に
再度ドキッとさせられた

こんなイケメン…近くで見たことないよ

『そう?なら駄目そうな時は言ってね』

優しく微笑む彼に
今度はドキドキと心臓がうるさく鳴り出した

こんな素敵な人と
これから一緒に働けるんだ、と期待に胸を膨らませたのに
配属部署を知ってがっかり…

ツアコンと窓口業務じゃ
もう彼と関わることも無くなる

そう思っていたのに
翔くんはやっぱり優しいんだよね

それからも僕を見掛けると
わざわざ僕の所まで来てくれて
話しかけてくれる

こうしてお土産まで買って来てくれる
それだけで十分しあわせだよ

それ以上望んだらバチが当たる

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