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take a breather

第18章 君への想い

翔くんは部屋の鍵を開けると
また僕の手を取り部屋の中へ歩いて行く

僕をベッドへ座らせ、荷物を椅子に置くと
冷蔵庫から缶ビールを1本持ってきた

「はい、ラスト1本」

僕にビールを渡しながら翔くんが隣に座る

「僕、昨日どれくらい飲んだ?」

「4本だよ」

「4本で酔っ払っちゃったんだ」

「いつもならもう少し飲めるんだろうけど
風呂上がりで一気に飲んだから
回りが早かったんじゃないか?」

「翔くんは?何本飲んだの?」

「俺は仕事で来てる時は1本って決めてるから」

「ならなんでいっぱい持ってきてるの?
昨日ふたりで5本飲んで、1本残ってるなら
6本持ってきたってことでしょ?」

「備あれば憂いなしってね?
今回は智たちがいたから
ひとり1本×3人×2日で6本の計算だったんだよ」

「なるほど…さすが優秀なツアコンだね
準備に怠りがない」

「お褒めに預かり光栄です
で?今回のツアーは満足していただけましたか?」

「うんっ。大満足!
僕の恋を叶えるツアーだもんね?」

「ははっ、俺の恋を叶えるツアーでもあるけどな?」

「ねぇ、どれがオプションだったの?」

「恋人の聖地と最後の清水寺だけだよ
事前に風磨に詳細を話しておいて
行動を指示してた」

「じゃあ、サービスエリアで風ちゃんがひとりでご飯食べに行ったのもそう?」

「そう。ふたりで聖地に行きたかったからな」

「清水寺は?」

「『音羽の水』と『恋占いの石』を教えておいて
両方を実行するように言っておいた
んで、地主神社に行く時に連絡くれって」

「はぁ〜、ほんと用意周到…」

「智の気持ちを確認する為だからな
それくらいの事はしないと」

「ふふっ、ありがと…最高のコーディネートだったよ」

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