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take a breather

第18章 君への想い

「智、俺とシタかったの?」

ニヤニヤ顔で翔くんが聞く

「ちがっ…そんなこと考えてた訳じゃないけど…
でも、一度切りの誤ちでも
好きな人に抱いてもらえたなら嬉しいなぁ…って」

「俺、そんな信用ない?」

「なんで?」

「一度切りの誤ち犯すような男に見られてる?」

「そうじゃないけど
僕の記憶がなかったから…
だから、淡い期待も込めてだよ」

「智って、ホント乙女」

「どこが?」

「そういうこと考えちゃうとこ
だからさ、乙女心を擽るツアーオプションにしたんだよね
『恋人の聖地』にしても『恋占いの石』にしても
恋する乙女が喜びそうだろ?」

…確かに

僕って思考回路が乙女なの?
だから男の人に好意を寄せるのか…

「そんな智にプレゼント」

翔くんは起き上がるとベッドから降りた
全裸のまま荷物の所へ歩いてく

昨日は散々見たけどさ
堂々とされると目のやり場に困るんですけど…

「智?どうした?」

俯く僕に翔くんが不思議そうに聞く

「パンツくらい履いてよ」

「ふふっ、乙女〜」

「もぉ…馬鹿にして」

「ははっ、ごめん。
はいこれお土産」

目の前に差し出される紙袋

「え?なんでお土産?一緒に来てるのに」

翔くんから袋を受け取ると
翔くんは脱ぎっぱなしの浴衣を拾い、袖を通す

「嵐山歩いてたら見つけて
智が好きそうだなぁ、って思って買っちゃった」

袋を開けて中の物を取り出す

「可愛い〜」

「だろ?」

着替え終わった翔くんはベッドの淵に座る

「これ富士山?布で出来てるの?」

「そうだよ。ちりめん細工って言うんだ」

「ちりめん細工?
それってあの娘と行ったお店?」

「え?なんで知ってるの?」

「翔くんがあの娘とふたりきりでいるの見たから…」

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