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take a breather

第19章 ROMANCE

彼との再会を果たせぬまま新年を迎えた

まぁ、再会と言っても俺が一方的に観てただけなんだけど

年が明けてすぐ
サークル仲間の潤にアルバイトを頼まれた

「俺の知り合いなんだけど
カテキョーやってくれない?」

「カテキョー?なんで俺?
潤がやればいいじゃん」

そう言うと潤が苦笑いをした

「やったんだけどさ
俺じゃ駄目だったんだよ
だから誰か他の奴紹介してくれって」

「潤が駄目なのに俺で大丈夫なの?」

「多分…俺よりはマシなんじゃないかと…」

「どういうこと?
駄目だった理由はなに?」

「元々付き合いがある奴で
そこそこ親しくしてるから
思ったことズバッと言っちゃうんだよね
ほら、俺短気じゃん?
『なんでこんなの出来ねぇんだ』とか言っちゃうわけよ
するとアイツも
『お前の教え方が悪いんだ』
って、ボソッと呟くの
それに益々腹を立てて
勉強教えられる精神状態じゃなくなるんだよね」

「そんな子に俺が教えるの?」

「俺もさぁ、雅紀とどっちに頼むか迷ったんだよ
アイツならキレることなく教えてくれるだろうな、って
でもさ、揉めた原因が『教え方が悪い』だろ?
だったらその原因を作らなそうな翔に頼んだ方が正解かと」

「俺、自信ないけど…
カテキョーなんてやったことないし」

「大丈夫だって。翔の教え方、上手いもん」

「そうは言われても…」

不安しかない

「試しに一度行ってみてよ
駄目ならまた他の奴探すから」

「うん…わかった…」

潤の頼みだから仕方ない
一度行くだけ行ってみるか

こいつのお願い断ったら
それこそ後が怖いしな

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