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take a breather

第19章 ROMANCE

「翔ちゃん!待ってたよ」

大野家のインターフォンを鳴らした途端
智くんが飛び出してきた

「こんにちは。今日のお出迎えは一段と早いね」

「んふっ。今日はね、この前受けた模試の結果が出たんだ」

嬉しそうな様子を見ると良い結果だったのかな?

「智くん頑張ってるもんね」

「ね、早く結果見てよ」

智くんに背中を押されながら階段を上がる

智くんが部屋のドアを開け中に入ると
テーブルの上に成績表が乗っていた

いつもの場所に座り成績表を手に取る

智くんは俺のすぐ横に座り、一緒に成績表を覗き込んだ

「どれどれ…おっ?数学上がってる
英語も…
凄いじゃん、第一志望の大学がB判定に上がってる」

「だろ?翔ちゃんのおかげだよ」

「ううん、智くんが頑張ったからだって
俺が教え始めてからまだ1ヶ月位しか経ってないんだから
智くんが頑張らなきゃここまで上がらないよ」

智くんの顔を見て、智くんの頑張りを褒めた

「だから、それが翔ちゃんのおかげなの」

「どういうこと?」

「だって俺の成績上がらなかったら
カテキョー辞めるって言ってたじゃん」

「え?あぁ、言ったけど…」

最初の日に話したやつか…

「そんなの死んでも嫌だから
俺、めちゃめちゃ頑張ったんだよ」

真剣な表情…本気で言ってくれてるのはわかる

わかるんだけど、その想いが真っ直ぐ過ぎて受け止めきれない

「ははっ…死んでも嫌なんて大袈裟だな」

「大袈裟じゃないから」

茶化して誤魔化そうとしたのに
本気のトーンで、即座に否定されて言葉が出ない
 
他人の本気の想いを茶化すのは
失礼なことだよな

申し訳なくて、視線を成績表に落とした

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