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「あっ、そうだ！
ねぇねぇ翔、これ観て？凄いの」

学食でサークル仲間の雅紀と昼メシを済ませた後
雅紀がポケットからスマホを出した

「なに？凄いムッツリ動画でも見つけた？」

「違うよっ！」

雅紀がムキになって否定する

「ははっ、冗談だって
いつもの癒し動画だろ？」

動物好きの雅紀はアニマルの癒し動画を見つけると俺に観せてくる

雅紀のチョイスはなかなかのモノで
本当に可愛いし癒されるから
俺も観るのは嫌いじゃない

「ブブー！それもハズレ！」

「え？違うの？なら何？」

「今日は俺が撮った動画
昨日、すっげぇ人見つけたから撮っちゃった」

「凄い人？何してたの？」

「観ればわかるって」

スマホの画面を俺に向ける

雅紀が画面をタッチすると
スマホからは音楽が流れ出し
映っていた人物が動き出す

「これっ⁉︎」

「ね？凄くない？この人」

彼だ！俺がずっと探していた、あの時の彼…

服装は違うけど、この目深に被ったキャップはあの時と同じ物
残念ながら、あの時と同様顔は見えない

でも、こんなダンスを踊れるのは彼しかいない！

「この人！どこで踊ってたの⁈」

立ち上がり雅紀に詰め寄ると
雅紀は椅子に座りながら仰け反った

「どっ、どうしたの、翔？
彼と知り合い？」

「知り合いじゃない！
知り合いじゃないけど、探してた！」

「え？なんで？」

「彼のダンスに一目惚れしたから
俺がダンス始めるキッカケの人なんだ」

「ええっ！そうなの？」

「そうなの！で？どこにいたの⁈」

「駅前の公園にいたけど」

「駅前の公園…」

「うん、彼以外にもあちこちでダンス踊ってる人いたんだけどさ
一際目立ってたから思わず撮っちゃった
散歩してる人たちも足を止めて観てたよ」

そうだよ…あんなダンスを目の当たりにしたら誰だって見惚れる