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take a breather

第20章 I seek

〈N's eyes〉

やっと気付いたかと思ったのに
やっぱダメだったか…

あの人の鈍さは筋金入りだしな…

今までだって、数多くの先輩や後輩たちから想いを寄せられてるのに
まーったくもって気が付かない

それにしてもなぁ…
自分の気持ちにも気付かないなんて
鈍すぎるにも程があるでしょ

何が『可愛い』だよ…
何年も一緒に過ごして来たメンバーを
今更可愛いなんて思うなんて
特別な想いがその先にあるからじゃん

大体、翔ちゃんを見てる目がさ
ちゃかしてエロ親父なんて言ったけど
周りで見ている方が恥ずかしくなるくらい
『愛しい者』を見る目なんだって…

本人は、とぼけてる訳じゃない…本気でわかってないんだ

こんなんじゃいつまで経っても大野さんが翔ちゃんに想いを伝えることはないだろうな…

いいんだけどね?別にこのままでも…

ただこの先、翔ちゃんに恋人が出来たってなった時に
大野さんが自分の気持ちに気付いたら
ちょっと…いや、だいぶ可哀想かな、っては思う

俺たちが気付いてるだけにね

『あの時、気持ちを伝えておけば
なにか違った未来があったかも』…なんてさ
俺たちまで後悔しちゃいそうじゃん?

だって、このふたり…傍からみてるとお似合いなんだもん

翔ちゃんの気持ちは知らないよ?

でもさ、こんな大野さんの世話を焼けるのは、翔ちゃん以外にいないんじゃないの?

だから、メンバーのよしみとして
大野さん自身に自分の気持ちに気付いて貰って
翔ちゃんに想いを伝えて貰おう、なんて考えてる訳さ

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