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take a breather

第20章 I seek

「おだててなんかいないよ
本心を言っただけ」

「なんか今日の大野さん、女を騙す悪い男みたい…
口が上手くて騙されそう、って感じ」

「なんだそれ?」

「だって、普段そんな風に言うことないじゃん
楽屋にいても口数少ないのに」

「まぁ、なんだ…
翔くんとふたりだけだから
いつも思ってることを伝えてみただけだよ」

「だからっ、それが口が上手いんだって!
どうしちゃったのよ?
色男にキャラ変え?」

「チゲェし…」

気持ちを伝えるってのは本心を言うだけじゃ駄目なのか…難しい

「でも、ありがとね」

「え?なにが?」

「貴重な大野さんを見られて
俺にとってもラッキーな日になった、かな」

嬉しそうに微笑む翔くんを見て
心臓がドキっと鳴った

その笑顔が今までとは違い
『可愛い』ではなく『綺麗』だと思ってしまったから…

んー…自分の気持ちを自覚してから
急速に悪化していくぞ?翔くんへの恋の病

『好き』という感情が
こんなにも心を落ち着かせなくするなんて
初めて知ったかも…

今まで俺がしてきた恋愛って、なんだったんだろう

こんな歳になってから胸がキュンキュンするような恋を経験するとはな…

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