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take a breather

第20章 I seek

トントン…

楽屋のドアがノックされた

「はい」

翔くんが返事をすると遠慮気味にドアが開かれ、上田が顔を覗かせた

「おはようございます、兄貴」

「おはよ。なに、お前も今日ココで仕事なの?」

「はい。今日は兄貴がいる日だから
早めに来て、挨拶に伺いました」

上田の翔くんへの想いは、ハンパなく熱いモノだと知っていたけど
スケジュールまで把握してるのか?

「ははっ、わざわざ早く来なくても
挨拶なんて会えたらでいいよ」

翔くんがおかしそうに笑うのに対し
上田は真剣な表情で答える

「いいえ!兄貴に会う為ならいくらでも早く来ます」

「会う為って、お前大袈裟…
会おうと思えばいつでも会えるだろ?
今週末にも会うじゃんか」

「あれは大勢でじゃないですか!
今日はまだおひとりかと思ったのに…」

上田がチラッと俺の方を見た

俺が邪魔だって?

そうだよな?
お前、ここに来た時
翔くんには挨拶したけど、俺にはしてないもんな?

テッキリ、上田は翔くんのことを尊敬しているのかと思ってたけど
そうじゃなかったんだ…

今まで気が付かなかったけど
コイツも翔くんのこと、恋愛対象として見てる

そして、感じとっていたんだろう
同じ相手に想いを寄せてる俺の気持ちを…
今、俺が感じ取ってるように

ニノや他のふたりも気付いていたんだ
翔くんに恋心を抱いているコイツが気付いても不思議はない

道理で上田と会話した記憶がなかった訳だ

コイツは俺を敵視してる

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