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a faint

第2章 white-night obsession



white-night

オ前ノ 望ム物ハ 何ダ?

オ前ガ 望ム男ハ 誰ダ?

シャッフルされたカード。

滑(なめ)らかな天鵞絨(ヴェルヴェット)の上をダイスが転がり アルコール臭と紫煙で視界が烟(けぶ)る。

回転する数字の上を玉が跳ね 交錯する視線が狙うのはゾロ目。

積まれたチップの山並みが崩れた。

哀れみの目を睨み返し 口唇を舐める舌、荒い鼻息と嘆きの声が錯綜する。

苦手 得手 失意 得意 絶望 有望 表裏一体の背中合わせ。

ポーカフェイスを取り繕って 目の前の澄ました仮面の裏を探る。

スリルのエチュード 興奮のソリチュード 悦楽のプレリュード

怒号が飛び交い 札束が宙をハラハラ舞えば クスリと微笑う白磁の人形。

その白粉に塗(まみ)れた手を恭(うやうや)しく掲(かか)げ 甲にキスを捧(ささ)げた。

何ガ 欲シイ?

地位か 名誉か それとも金か

無くすモノなんて たかが知れてる。

何ヲ 見タイ?

現在?過去?未来?

オマエを失うくらいなら 何も要らない。

黒と白 光と闇 陰と陽 形と影。

吐く息はこんなに白いのに 俺の中は真っ暗だ。

全ての悪意に敬意を払い 冷たい夜を抱き締め 目覚めぬ朝へとDIVEした。

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