
君はぼくの全て
第3章 卒業
「あんたの雅紀くん大好きは嫌ってほど知ってるけど…、ごめんね、我が子ながら本気で引いたわ」
「ほっといて」
げんなりしているかあさんに、これ以上傷をえぐられる前に逃げよう
じゃないと、まーくんに電話して迷惑掛けちゃう気がする
でも
ずっと我慢してるんだもん
…ちょっとだけ。ほんの数分くらい、声聞いてもいいかな
一言「一緒に頑張ろ」って
そして
終わったら、ぎゅーしてちゅーして欲しいって伝えたい
うん。これ言ったら俺も頑張る
死ぬ気で勉強するから
だからお願い。今だけ許して
部屋に入ってスマホを取り出して、メールじゃなくて通話を押す前に1回だけ深呼吸
それこそかあさんの言う通り毎日会ってるのにね
我慢してたからか変に緊張してる
『かず?』
何回めかのコールの後、『もしもし』じゃなく優しい声で名前を呼んでくれた
最初の一言めが名前って、こんなにドキドキしちゃうんだ…
「まーくん?…ごめんね」
『何が?何も謝る事してないでしょ』
