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すぐそばにいる君を

第2章 数々の苦難

そういえば、村中の登校姿を見たことがなかった。
いつも気づいたら教室にいるという存在だ。
声をかけようか悩んだ挙句、めんどくさがられるのが目に見えてそのままダッシュをして学校へ入った。
教室に入ると皆まだ席についているわけでもなく話し込んでいる。
「春、おはよー。
チャイムなる五分前に着くなんて珍しいね」
「まあね、少し訳があって」
その訳を聞きたいと目を輝かしているみいヤンはたぶん村中関係だと思っているんだとすぐにわかった。
「いや、ね…関係ないから…」
「えええ、嘘つかないでいいよ!!私と春の仲でしょ!?」
確かにみいヤンとは高校入った時から仲良くはしている、嘘や内緒にしていることはこれまでない…と思いたい。
だから今朝なぜ遅刻寸前に学校へ着いたか話した方がいいか迷うが、彼女の望んでいる答えとは違うから言うべきではないと思う。
「ね、ね…?」
期待の眼差しが嫌に熱い。一体私と村中の関係をどう思っているのか、少し頭が痛くなって来た。
そんな中、チャイムが鳴り響き少ししたら担任が来るだろうと皆席に座り待機をする。
だけれど、静まることなく話し声は続いていた。
ガラー…
ドアが音を立てて開く。きっと担任だろうとドアの方を見るが姿が見えず後ろに目をやると涼しい顔をした村中が入って来た。

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