
ひなたぼっこ~PerfectRomance~
第1章 ひなたぼっこ
「知りませんよ。担当さんとこいつの保健所行きでも話してるんじゃないですか?」
相葉さんはそんな事しない、って思いたいけど
頭の中には、あの困った顔しか浮かばなくて
保健所、と言う言葉だけがぐるぐるしていて
櫻井さんが言う通り、「保健所に連れてく」とは言ってなくても、どうしてもモヤモヤしてしまうしムカムカする
飛び出して来ないで、ちゃんと話せば良かったのに
でもあの時は、こいつを守りたくて夢中になってた
「なあ、二宮」
「…はい」
「雅紀が来てから、話せよ。俺らも最善策考えるから」
くしゃ、と髪を撫でる櫻井さんの手が優しいから、
どこか張り詰めていたらしい俺の視界が、ぶわっと滲み出す
「おわっ、泣くな!バカ」
「だってぇ…」
泣きたくて泣いてる訳じゃないからどうしようもない
スンスン鼻をすすり、涙を引っ込めようとしてたら
「ほら、泣かないのー」
にゅっ、と猫の顔が目の前に現れて、ついでにざらりと涙の跡を舐められて
「んにゃあ」
まるで「泣かないの」と慰められてるみたいに、猫がのんびりと哭いてみせた
