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友達のままがいい

第2章 現在


「お前さぁ。死ぬまで俺の味方でいろよ」

いつの間にかビールから日本酒に変わっていた則ちゃんが少しトロンとした眼でつぶやいた。
お酒が強くない彼が日本酒に手を出したということは、落ちるまでそう長くはない。
こうなる事は分かっていたけど、今日は早すぎる…
それだけ彼女とは真剣で、別れたことがショックだったのかもしれない。
そう思うと、やはり切なくて泣きたくなってくる。

「死ぬまで…俺の味方でいろよ」

何度も何度も同じ言葉を繰り返す。
これは彼が酔っ払ったときに必ず私に言ってくる言葉。
覚えているのか覚えていないのか分からないけど、毎回同じ事を聞いてくる。
だから私も同じ言葉を返す。

「ずっと味方だよ。その為の友達でしょ?」

則ちゃんの前髪を掻き揚げながらやさしく告げると安心したのか、にっこり微笑み掻き揚げている手を握り締めてきた。

「ああ。だからお前は友達がいいんだ。友達が……」

その言葉に心がギュッと締め付けられる思いがした。

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