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友達のままがいい

第2章 現在

それから、完全に潰れた則ちゃんを連れて帰るのは一苦労だった。
普通だったらタクシーに押し込んで知らない顔ができるけど、今日に限ってはそうはいかなくなった。
いきなり家の鍵がないと言い出したからだ。
あらゆる場所を探しても鍵が見つかることはなかった。
ホテルに押し込むにしても金曜日の週末で空がない。
かといってラブホに行く勇気もなく、最後に決断したのが私の家に連れて行くことだった。
大将に手伝ってもらいタクシーに乗せて向かうのは20分程にある我が家。
何度か家に呼んだことはあるけど泊まらせたことなんてない。
というか、男の人を泊まらせたこともない。
なのにいきなり則ちゃんを泊まらせるというのは私にはかなりハードルが高すぎることでドキドキが止まらなかった。
それにずっと繋がれた手。
恋人の様に指を絡ませて握っている手にドキドキが加速して死んでしまうんじゃないかと思うほどだった。
それでもそこから伝わる温もりに嬉しさを感じないはずがない。
きっと則ちゃんは何も覚えてはないだろうけど、それでいいと思う。
だって…恋愛感情があるのは私だけで、則ちゃんはないんだから…

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