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友達のままがいい

第6章 未来

則ちゃんは起き上がり、私からペットボトルを取り上げると勢いよく半分を飲み干し、私の目の前に座りなおして、私の髪の毛を撫でてくる。

「…なぁ…もう自由になっていいよ…」

悲しそうな瞳を揺らしながら静かに話す。
何から自由になっていいのか、今の一言だけでは理解できなかった。
そんな私を見て、フッと笑う。

「俺がみんなにシカトされたあの時からお前は俺の味方でいてくれた。何があっても友達として傍にいてくれた。あの時の俺を知ってるお前に、友達だからと言えば傍にいてくれるのは分かっていたから…その言葉を利用して縛り付け振り回してきた。だけど…お前は幸せじゃないよな。いつも泣かせてばかりだ。だから…友達という名から自由にしてやる…解放してやるよ」

今にも泣きだしそうな…そんな笑顔で告げる。
未だに何を言っているのか理解できなくて混乱する私は、ただ唇を噛みしめてうつむき続けるしかなかった。

「夜中にごめんなっ…今日はタクシーで帰るわっ」

それだけ言って彼は静かに部屋を出て行った。

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