
友達のままがいい
第3章 (過去)中学生
「文香が来てくれて救われたよ…正直さぁ…俺自身どうしていいか分かんなくなって…昨日まで友達だと思っていたやつらが全員そっぽむいてさっ…噂だけ信じて…誰も連絡してこなくて…おれ…」
泣きそうな震える声で則ちゃんは語り、頭をベッドに乗せて天井を見つめた。
だから則ちゃんがどんな表情をしているのかわからない。
きっと泣き顔を私に見られたくないんだと思う。
それでも則ちゃんは語る。
辛くて辛くて誰にも言えなかった言葉を続ける則ちゃんの言葉に耳をかたむけ、則ちゃんの痛みを私は知る。
それを共有できればいいと思う。
そして、少しでも楽になればと思い黙って聞いた。
「あぁ。俺ってこんなもんかって思ったら…学校行けなくなった…学校にいかなくちゃって思うんだ。だけど、朝起きて制服見ると怖くなる…無理やり制服を着て玄関先まで行くけど…その先に行くことができない。ドアノブを回すことができないんだ…何分も何十分も立ち尽くしたまま……まさか自分がこんなに弱いなんてな……家にいても一人だし、一人だと余計に悪いことばかり考えて……文香?」
