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友達のままがいい

第3章 (過去)中学生


『生きていてくれてよかった…』

誰かがつぶやいた言葉にぞっとした。
大人にとっては些細な出来事かもしれない。
だけど小さな世界で生きている私たちにとって、友達とのいざこざは生死に関わる重要なことでもある。
もしこのまま声をかけることをしなかったらどうなっていたのかと思うと胸が苦しくなった。
取り返しが付かなくなる前に行動してよかったと思った。

『則ちゃんね。卒業の時に渡したミサンガ、大事に持っててくれたんだよ。私たちが必死で作ったものだから捨てられないって。あれを見て楽しかったことを思い出して、またみんなと遊べたらって…そう言って大事に持っていてんくれたよ』

私のミサンガを出して話すと、一人、また一人と自分が持っているミサンガを出し、7人分の色とりどりのミサンガが並んだ。
ここに8人分が揃わないのは悲しいけれど、何も言っていないのに揃うことは奇跡で鼻の奥がツーンとしてきた。

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