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友達のままがいい

第2章 現在


「ではでは、おつかれさまでしたぁ」

ビールが運ばれてくるとすぐに乾杯をして一気に飲み干した。
このために水分立ちをしていたのだから美味しいのは間違いない。

 ぷはぁ~

と飲み干したあとの一息がたまらず、これが至福のひと時。
私と違ってお酒が弱い則ちゃんは呆れ顔で私を見ながらチマチマと飲んでいる。
そんな則ちゃんを横目にビールを追加した。

「で?今日の呼び出しは何??また彼女と別れたとか??」

何気なく聞いた一言に則ちゃんの動きが止まった。
大正解!!と言ったところだろう。
そんな理由でもないと誘いなんてこない。
彼女ができたら報告、別れても報告、そのたびに傷つく私の心を則ちゃんは知らない。

「バレバレ???」

少し寂しげな笑顔を向けてくる則ちゃんが愛おしくて抱きしめたくなる。
だけど私はただの友達で、ただの友達はそんなことはしない。
だから、私ができること…
則ちゃんに伸ばしかけた手を引っ込め、枝豆を口の中に頬り込む。

「元カノ、見る目あるじゃん」

その場を和ませるように馬鹿にしたように笑って言うと、ジロリと睨まれた。
そんな瞳で睨まれても、私は則ちゃんにとって良き理解者で良き友達だからこのスタンスを今更変えられない…

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