
友達のままがいい
第2章 現在
「何かお前…むかつく」
「はいはい。そうですか?」
私はいつものように則ちゃんとじゃれあっているつもりだった。
だけど次の瞬間、いつもに増して低い声にビクッと身体が震えた。
「マジでむかつくっ!!」
「則…ちゃん??」
驚く私に則ちゃんの腕が伸びて―――――…私の頬をつねった。
「則ちゃん??……痛いよっ…痛いって」
徐々に力が入る指に顔を歪める。
少し力が歪んでもつねっている指を離そうとはしなかった。
「なぁ…なんでお前…平気なんだよ」
「えっ??何が??」
則ちゃんの言っている言葉の意味が分からなくて聞けば、つねっている指に一瞬力を入れて手を離した。
「何でもねぇよ」
そう言って不貞腐れて残っているビールを飲み干した。
そんなに一気に飲んで大丈夫なのかと思いながら、さっきまでつねられていた頬に手を添えて則ちゃんの指の温かみを感じた。
