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俊光と菜子のホントの関係

第2章 『俺と菜子』


「あははっ! もーう俊光君、さっきから一文字ずつしか発してなーい」

「いや、だって……ていうか菜子、笑いすぎだぞ」

「しょうがないじゃん、おかしすぎるんだもん。まだ自分の誕生日を忘れる歳じゃないのにー。50過ぎのお父さんだって、自分の誕生日覚えてるよ?」

「俺の脳年齢を、父さんより上扱いすんな。……ん?
 てことは、このプレゼントは最初から俺にあげるために選んだワケ?」

「何言ってんの、当たり前でしょう。俊光君ってホントに鈍感なんだからぁ」


 そしたらじゃあ、俺のプレゼントのために、あんなに楽しそうに嬉しそうにして選んで買ってくれたのか。

 俺が――好きなヤツへのプレゼントだって勘違いしてしまうぐらいに……


 好きなヤツ……えっ?


 ヤバっ。変なことを考えたら、またドキドキしてきたっ。

 菜子の好きなヤツが俺とか、ないからっ! 兄としてだよ、兄として!


「た、たくっ……そうならそうって言えよっ」


 気持ちを誤魔化すため、ぶっきらぼうに言い放った。



「男物の服選んでる時点で気づくかと思ったんだもん。
 でも、いいプレゼントが出来て良かったー」


「え……」



「それ……俊光君が着たら絶対カッコいいもん」



「なっ……」


 カ、カッコいいって、お前っ……。

 そんな可愛く両手で頬杖ついて、ニコニコ無邪気に言われると、余計にドキドキして胸が苦しくなるじゃんか。気持ちも誤魔化しきれなくなる。

 ダメだって。治まれよっ。血が繋がってなくても、菜子は妹なんだ、妹なんだぞっ。

 って、ずっと繰り返し言い聞かせてるのに、気持ちは治まるどころか、どんどん膨らんでいくばかりだ。

 何で今になってこんな感情がっ……。


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