
俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
「――いいなぁー。あのカップル、マジ可愛すぎでしょ」
……へ? カップル?
声がした方へ振り返ると、女性客二人とバチッと目が合った。
何? カップルって……俺と菜子のことを言ってんの?
二人は、慌てて俺から目をそらすも――
「見た? 彼氏、結構イケメンじゃん」
「彼女もピュアっぽいし。
マジでこれ、必殺・鬼最強カップル萌えー」
「それなそれなー!」
コソコソ話がコソコソとなってなくて、しっかりと聞こえてしまった。
お、鬼最強カップル萌え…………マジか。
俺と菜子、完全にカップルだと思われてる。菜子が俺を名前で呼んでいるから余計にだ。
血は繋がってなくても、兄妹なのに。
兄妹なのに……カップルと言われて気持ちがくすぐったい……
は? 何、俺……嬉しいワケ?
「……俊光くーん。ごめんなさーい……」
菜子に悄気(しょげ)られて、ハッと意識を戻した。
「あ、いや、何もそんなにシュンてなんなくても」
「だって俊光君……黙っちゃったし、すごく顔が赤いんだもん。
だから、恥ずかしくて怒ってるのかなって……」
「…………え?」
すごく顔が赤い……だと?
「ちょっと菜子、手鏡貸して」
「え、あ………はい」
「ありがと」
どれ。
「…………うわっ!」
自分の顔色を見て、思わず手鏡を伏せた。
怖っ! 俺……メチャクチャ顔が真っ赤じゃんか。尋常じゃないぐらいに。
確かに恥ずかしかったっつーのもあるのかもしれないけど、俺は……菜子とカップル扱いされた事が、真っ赤になるぐらい照れてる。
ドキドキしたり、モヤモヤとしたり、照れたりで……
これじゃもう俺は、菜子のことを――
