
俊光と菜子のホントの関係
第9章 『勝手にジェラシってる』
――は? 思いっきり目を反らされたぞ?
かと思えば、晃君の顔を掴んで自分と向かい合わせたりして……何だそれ、どういうつもりだ?
もしかして、俺への当て付けか?
だとしたら……スゲー腹立つぅ……。
晃君も晃君で、菜子にベタベタしすぎだろっ。菜子の耳元に手を添えて顔を近づけてっ。いくら明里ちゃんそっくりだからって、何しても許されると思ったら大間違いだぞっ。
――さっき自分自身にかけた『晃君は明里ちゃんだ』という暗示は、とっくに効果を無くしていた。
「……い、池崎先輩、どうしたんですか? なんか……怒ってます?」
はっ。ヤバい、怒りが駄々漏れてたか? 後輩のコが怯えてる。
「い、いやっ、怒ってないんだっ。大丈夫っ。ごめんな、全然気にしないでいいからっ」
「そ、そうですか……」
その後もなんとか表情を抑えて後輩のコと会話をするも、イライラは治まらず……。
たくっ……今朝、可愛く俺の手を握ってきたクセに、晃君ともイチャつきやがってっ。
人の気持ちを振り回すのも、大概にしろよ!
