
俊光と菜子のホントの関係
第9章 『勝手にジェラシってる』
――俊光君が来ちゃったっ。
左隣に座った振動を感じると、心臓がドキンと跳ねた。
「……よっ」
「ど、どうも……」
なんて、ついぎこちない返しをしちゃったりして。
その直後、電車が動き出すと、私と俊光君はガタンゴトンと揺られ始めた。
なんか気まずくて、落ち着かずソワソワ……としていると、俊光君が真っ直ぐ前を見たまま「ふーん……」と相づちを打つように頷いてきた。
「え? な……何?」
「お前ってさぁ……」
「う、うん……」
「晃君と仲がいいんだな。ていうか、仲良すぎじゃねぇの?」
「…………へぇっ!?」
何を言うのかと思ったら、それぇっ!? しかも、なんかイヤミったらしい言い方ー!
晃君と仲良すぎたって良くない!? 何でそんな面白くなさそうにするのぉ!? ワケがわからないしーっ!
面白くないのは、あの女子生徒さんとのイチャイチャを見せつけられた、私の方なんですけどぉーっ!
うぅー、ますますムカムカしてきたぁっ!
「そ、そりゃあ友達だもんっ。それに明里の双子の弟クンだよ? 仲がいいのは当然でしょー?」
かなり強く言い返してやった。
それでも俊光君は、
「いくら友達でも、親友の双子の弟でも、髪を触らせたり顔を近づけたりするのってイチャつき過ぎだろ。相手は男なんだから、もうちょっと距離を保てよ」
って、何様ぁ!? そんなに目を細めてチクチク言ってきたりしてぇー!
ていうか、それって私がいるの、ワリと早い段階で気づいてたってことだよねっ? そんならすぐに声をかけてくれればいいのに、黙って見ててイヤミを言ったりしてっ。
それにさぁ、俊光君も人のこと言える立場じゃないの、わかってますぅ?
