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俊光と菜子のホントの関係

第2章 『俺と菜子』




 ――リビングでテレビを見ながら、時計を気にした。

 十時か……。菜子、まだ起きてこなそう。

 よし、ちょっと行ってみるか。

 リビングから出て、階段へ向かおうとしたら、


「あ……俊光くーん……」

「菜子」


 起きてきたのか。

 菜子は降りている途中だったみたいで、階段の中間にいた。トレーナーに短パン。寝巻きのままだ。


「お前、大丈夫か?」

「んー…………」

「な……菜子?」


 何か、様子がおかしいぞ?

 どこかボーッとしてて、顔もかなり汗ばんで――


「ふっ……」

「なっ――」


 落ちるっ!


 反射的に階段を駆け上がり、倒れかけた菜子を抱き止めた。せ、セーフ……。


「おいっ、菜子っ! 大丈夫かっ!?」

「はぁ、はぁ……」


 わっ、すげー熱いじゃんかっ!

 抱き止めた体からは、服を着ていても熱が伝わってきた。


「はぁ……と……俊光く……ごめ……ね……」

「バカッ! 謝ってる場合かっ! すぐに病院に行くぞっ!」

「ん……」


 とにかく、タクシーを呼ぼう!


 菜子の背中と太もも裏に腕を回して持ち上げ、急いで下へと降りた。


 菜子っ。俺がすぐに連れていってやるから、しっかりしろよっ!

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