テキストサイズ

俊光と菜子のホントの関係

第21章 『大事にしたい。なのに……』


「大事にしたい大事にしたいって、そればっか。そんなら俊光君は、一体いつまでオーマイガーをしないでおくつもりなの?
 そういえば俊光君って、昔っからそうだよね。好きな食べ物も、あとで食べようと大事に大事に取っておいちゃってさぁ。んで結果、私に横取りされて食べられちゃったじゃん」

「それは、お前のせいでもあるだろ」

「違うもんっ。俊光君がいつまでも取っておきすぎてるのがいけないんでしょう。
 だから、そうやって私のことも、いつまでも大事に取っておくだけでいると……そのうち誰かに横取られて、食べられちゃうかもしれないんだからねーっだ」

「なぁっ……!」


 誰かに食べられるとは……。怒っているとはいえ、幼い顔してえげつないことを言ってくれるなよ。


「それにね私……『アレ』だって持ってるんだよ」

「は? いきなり『アレ』だけ言われても、わかるわけないだろ」

「ちょっと待っててね」


 菜子はまたベッドから離れると、今度はクローゼットをオープン。


「えーと、確かこの辺にー……」


『アレ』の答えが全然つかめてない俺を放置したまま、ぶつぶつと独り言を言いながら、プラスチックの収納チェストの中をガサゴソと漁りだす。

 とりあえず……黙って待つことにした。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ