
俊光と菜子のホントの関係
第21章 『大事にしたい。なのに……』
「バカッ、んなこと言うなっ。余計にしたくなるだろっ」
「だからっ、したくなってもいいって言ってんじゃんっ」
逃げても逃げても逃げきれない。どこまでも追いかけてきては殺そうとする『理性ハンター・菜子』に、脅威しか感じない。
「ダメだって。今の俺はホントにヤバイんだ。お前のことを大事にしたいのに、自分を見失って欲のままに手を出して傷つけることになったら、後悔しかない。
ホントに……お前のことが大事なんだよ。だから……」
「……なーんか私、ムカついてきちゃった」
「な……菜子?」
『命乞い』ならぬ『理性乞い』する俺に、『ムカつく』と言う菜子の目は……ヒヤッと背筋が凍るぐらい冷たく据わっている。ヤバい。これはホントにムカついているヤツだ。
