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俊光と菜子のホントの関係

第27章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(前編)』


 揚げたてコロッケのあとも、通りにある物を、二人で半分こしながら美味しく食べ歩き。


「あーっ! 俊光君、食べすぎーっ。半分こっつってんのに! 私、レモンシュガークレープ、楽しみにしてたんだよっ?」

「お前に文句言われたくねぇよ。最初のコロッケなんか俺に二口ぐらいしかくれなかったし、四つ刺さってたイチゴ餡団子だって三つ取りやがったし、鎌倉ソーセージのホットドッグも三分の二食ったじゃんか。だから、これで五分五分だっ」

「むうーっ」

「出た出た、モチ顔。自分が食べ物になってどうすんだよ」

「ふーんだっ。次のしらすたこ焼きは、六個あるうちの四個食べてやるんだからねーだっ!」

「……お前、まだ食うつもりかよ」


 鎌倉らしい和風雑貨のお店も覗いたりした。


「わぁー。帆布のトートバッグ可愛い! あっ、ショルダーバッグもいいなぁ。へぇー、がま口のハンドバッグもあるんだー」

「おっ。これなんか、菜子に似合いそう」

「えっ、どれどれっ? ……って、それ、子供用のリュックじゃんっ!」

「はははっ。ごめんって、叩くなよ」


 ふんだんにお店を堪能してから通りを抜けると、次は大きくて堂々とした神社へ。緑の木々に囲まれた境内を進んでいって、高い石の階段をはぁはぁ息を切らしながら上がりきる。そうして辿り着いたお堂の前で、神聖な空気に包まれてお参りをした。


「神様、ありがとうございます! おかげで俊光君とここまで来れました! 感謝してます!」

「菜子っ、しぃーっ。大きな声を出すなっ。黙って参れよっ」

「えへへ……ごめんなさーい。神様にハッキリと聞いてほしくて、つい」

「……たくっ。しょうがないヤツだなー」


 神社からまたぶらぶらと歩いていって駅に戻ると、今度はローカル線の旅へ。緑色とクリーム色の可愛らしいツートンカラーの電車に乗りこんで、レッツゴー!


「わぁー、おうちが近ーい!」


 扉の窓にベッタリ張り付いて、外の風景に釘付け。

 俊光君の方は、私みたいに張り付いてまではしてないけど、すぐそばに立っていて、一緒に風景を眺めている。

 4両のコンパクトな電車が、ガタンゴトンと緩やかに走っていく。線路の両側には、おうちがズラリと建ち並んでいて、まるで、通りゆく電車を『ウェルカム!』つって歓迎してくれているみたい。


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